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さとけんだより「家ができあがるまで」

〇家づくりの楽しみ
今住んでいる家に不自由を感じて、リフォームを計画するか、あるいはいっそのこと新しい家を建てるとなると、注文住宅も選択肢の一つになります。
マンションや建売住宅は、売買契約によって手に入れることができますが、注文となると売買の形態も請負工事契約となります。まだ完成していない建物を図面で表し、その対価を決めて工事を依頼するものです。これだけでも複雑に感じます。だからこそ信頼できる建築会社に依頼したくなるものです。
そのかわり注文住宅は、家に自分を合わせるのではなく、自分の好みに合わせて考えるという家づくりの楽しみを満喫できます。せっかくの機会なのに、結果的には建売と住宅と一緒になってしまったのではちょっと残念です。
こうした家のスタイルについては、欧米では関心が高く、ミラノ・サローネなどの部材の展示があって、学べば学ぶほど、魅力的な家を作り上げることができます。

〇家づくりの複雑さ
住宅建設は多くの情報と選択肢があるため、判断が難しくなります。部材の組み合わせも検証し、善し悪しの判断が求められます。自由な組み合わせが可能な注文住宅は、プロの建築会社に相談しながら決めるのが賢明です。現代の建材は進化し、メーカーが責任を持って生産し、大手住宅メーカーや地域工務店が使用しています。この仕組みにより、住宅の品質が確保されています。

〇基本の部材/スケルトン
家の構造体は、基礎、柱、梁などで成り立ちます。基礎は鉄筋を入れたコンクリートが一般的で、施工の際は振動を加えてなじませます。木造の柱や梁は、かつては大工が加工していましたが、現在はプレカット加工された木材が使われ、建設現場では組み上げるだけです。この加工はIT技術によって管理され、仮想空間で組み立てを確認してから加工されます。現在、91%の建物がプレカット技術を利用しており、木造住宅も工業化が進んでいます。残りの一割ほどは木材の加工ができる職人技を残している地域の建築会社ですが、大手住宅メーカーだけが工業化が実現しているわけではないということです。

〇姿勢の良い家
工業化やシステム化が進んでも、必ずしも最適とは限りません。経験の浅いデザイナーが無理な設計をしても、現代技術で建てられてしまいます。しかし、家は耐久財であり、構造材が長持ちし、時代に応じて対応できることが大切です。家の柱や梁がシンプルで正しい配置になっていれば、姿勢が良い健康な体のように、地震にも強く、長く使える家となります。

〇性能の部材/外皮
構造体が完成した後は、壁や屋根、サッシなどの外皮で家を覆います。特に断熱材やサッシの性能が、冬暖かく夏涼しい快適さを左右します。建設会社は資材メーカーからこれらを調達し、サッシや断熱材も熱性能を向上させるために改良が進んでいます。日本ではペアガラスやトリプルガラス、樹脂枠サッシが広く普及しており、地域の建設会社でも省エネ性能の高いZEH住宅を建てることが可能です。
同じように断熱材も各種ありますが、最終的には断熱性能を決める熱伝導率と結露対策、コストとのバランスを考えて資材メーカーを選んで建てることになります。

仕上材・設備部材
スケルトンは長持ちする構造材、インフィルは後で交換できる部材です。仕上げ材や内装材がインフィルに含まれ、リフォームでよく使われます。浴室やキッチンの設備もインフィルにあたり、工業化により均質化されています。キッチンは家具に近く、インフィルにかかるコストが意外と大きいですが、柱や梁の構造材は比較的安価です。限られた予算内で適切に部材を選び、計画を進めることが重要です。

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